Power X の講演会に参加して ~前編~
前回のブログでは、私の「自己紹介」の後半を書く予定でいました。
タイトルの講演会に参加した後の熱が冷めないうちに、内容を是非共有したいと思いまして少し順番を入れ替えて投稿します。
前編は、日本と世界の再生エネルギーの現状をメインに、
後編ではパワーエックス社の事業内容や事業にかける想いを中心に書きたいと思います。
実は、このパワーエックス社の蓄電池工場が岡山県玉野市に建設されております。
私も三井造船時代、玉野工場にて勤務経験があり8年弱玉野市民だったので
聞いたときには「え?あの玉野にそんな先進的な企業が!?」という驚きと、
そして応援したい気持ちが芽生えました。
私が玉野市に赴任したのは2011年でした。
赴任前日に六本木で友人にお別れ会をしてもらいかなりぶちあがった熱で玉野に引っ越したので、
それはそれは想像を絶するようなギャップを経験しました。
電車が1時間に1本か2本しか来なかったり、
コンクリートジャングルに慣れ過ぎて瀬戸内の風光明媚な見晴らしの良い景色も
ただの違和感にしか感じられず、こんな田舎はいやだ!東京帰りたい!と
毎日のように思っていたことを思い出しました笑。
倉敷に引っ越してみて思うのは、のどかな港町で良いところだったなぁと、
時々無性に行きたくなる場所です。
簡単ですが伊藤正裕社長の経歴を紹介します。
1983年生まれ 伊藤ハムの創業者=伊藤傳三氏の孫として生まれる
2000年 大阪インターナショナルスクール在学中17歳の時に3次元コンテンツを手掛ける株式会社ヤッパを設立。(どんなPCからでも三次元の画像を見ることが出来る技術で、今でこそ当たり前だが自動車メーカーなどのHP上で、くるくると車体を回しながら車のでサインをシミュレーションできるような技術。)
2014年 現 株式会社ZOZOにヤッパの発行済み全株式を売却し傘下入り
2017年以降 3D計測用ボディースーツ ZOZOスーツやZOZOGLASSの開発・発表等多くの新事業を展開
2021年 株式会社パワーエックスを創業
では、パワーエックス社がどんな電力事業を行っているか簡単に。
・ためる:蓄電池販売事業
・はこぶ:電気運搬船事業
・つかう:EV充電ステーション事業
これら3つの事業をMADE IN JAPAN(TAMANO)の蓄電池製造基盤をもとに展開していくという会社です。
※24年5月現在累計資金調達額としては、230億円超 今治造船、日本郵船、伊藤忠商事、三井物産、J-POWER、森トラスト、三菱UFJ銀行、みずほキャピタルパートナーズ他、錚々たる企業から出資を集めています。
2021年創業のスタートアップで、この実績は本当に驚異的です。
さて、実際の講演内容をレビューする前に現状把握の意味も含め、
国内外のエネルギー情勢・潮流に目を向けてみましょう。
先進各国の・地域の再エネ発電比率としては、2020年にドイツ(43.6%)やカリフォルニア(33%)、
中国(27.7%)を達成しているにも関わらず2022年段階で日本は22%程度の達成率を推移している状況です。
一方で、23年11月末にドバイで開催されたCOP28での取り決めでは、
「世界の再エネ容量を3倍に」「世界のGHG(Green House Gas=CO2やメタンガスなどの温室効果ガス)排出量を2035年までに60%削減」する世界目標が採択されています。
ここで日本政府の方針を再確認します。
日本政府の発表としては、エネルギー起源CO2排出量を2030年までに2013年度比で45%削減、
また2050年までに正味でゼロとする目標を掲げています。
再エネはこれを推進するうえで最重要な脱炭素エネルギーであり、
日本政府としては2030年には発電電力の36-38%程度を再エネで賄い、
2050年にはその比率を50-60%まで引き上げていくことを目標にしています。
ちなみに日本のCO2排出源に関しては、電力が圧倒的な1位で42%を占めています。
※再生可能エネルギー(Renewable Energy)とは、石油や石炭、天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーとは違い、
太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーのことです。
その大きな特徴は、「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない(増加させない)」の3点。
なお、日本の電源構成比率に関しては、現状太陽光や風力等の再エネ発電は浸透してきているが、
やはり主力は火力発電で70%程度。2030年には火力発電を39%程度まで押し下げ、
再エネで代替していくことを目標としています。
電源構成が分かったところで、今一度、家庭や事業所で使用する電気料金について考察してみましょう。
上のグラフを見ると、LNGや石油、石炭などの化石燃料を燃やして電力を作っていることが分かりますが、日本には残念ながら石油も石炭もLNGもなく、その大半を輸入に頼っています。
つまり、こういった輸入エネルギー資源は、昔から中東情勢や各地での戦争、
また為替の影響を非常に受けやすく、ボラティリティが非常に高い商品です。
つまり、これらの価格に連動する電力は、常に乱高下を繰り返し一物一価にならず、
かつ国内でもエリアによって送電事情が異なるため価格は変動しているのです。
電気代が最近高いな~と感じていますが、
実はこれでも政府の補助金が2割程度入って抑えられている方で、
今後その負担軽減策が解除されると電気料金の価格は上昇の一途をたどりそうです。
さて、後編ではパワーエックス社の事業背景(日本がかかえる電力課題)と事業内容、
今後の見通し、所感について書いていきたいと思います。
伊藤社長は、非常にエキサイティングな発想で事業を推し進めているので、
何かビジネスのヒントになるかもしれません。